太陽光発電所は、自然災害の影響を受けやすい設備の一つです。特に日本のように台風、地震、大雪など多様な自然災害が発生する地域では、災害後の迅速で適切なメンテナンスが発電所の稼働継続に不可欠です。
1. 災害直後の安全確認
災害が発生した直後、最初に行うべきは現場の安全確認です。構造物の倒壊や感電のリスクを考慮し、現場に立ち入る際には必ず防護具を着用し、安全を確保したうえで作業を開始します。また、現場を確認する前に遠隔監視システムが設置されている場合は、システムを通じて発電量や異常信号の有無を確認することも有効です。
2. パネルの状態点検
災害後の太陽光パネルは、飛来物や強風で破損している可能性があります。
- 目視点検では、パネルのひび割れや汚損、フレームの曲がりなどを確認します。
- 赤外線カメラを使用することで、内部セルの損傷やホットスポットの発生を特定しやすくなります。
破損が見られる場合、そのまま放置すると発電効率の低下やさらなるトラブルの原因となるため、早急な交換や修理が必要です。
3. 配線や接続部の確認
配線や接続部が断線、緩み、または水に浸かった場合、発電所全体の機能が低下します。特に大雨や洪水後は、水分が配線内部に侵入していることがあります。こうした状態はショートや感電のリスクを高めるため、絶縁状態のチェックと修理が重要です。
4. 設置構造物の点検
太陽光パネルを支える架台や土台部分は、強風や地震で変形、倒壊している場合があります。特に地震の後には、基礎部分が沈下していないか、またはボルトが緩んでいないかを徹底的に確認します。架台の不具合は、風の抵抗に弱くなるだけでなく、パネル自体の角度を狂わせ、発電効率に影響を与えるため、早期修繕が必要です。
5. 雑草や瓦礫の撤去
台風や洪水の後、周辺の雑草や瓦礫がパネルの表面を覆ったり、架台の下部に堆積することがあります。このような障害物は発電効率を低下させるだけでなく、雨水の排水を妨げる原因にもなるため、速やかに除去します。また、大雪の場合は雪の重みでパネルや架台が破損しないよう、適切な除雪作業を行います。
6. システムの動作確認と再稼働
災害後の点検作業が完了したら、インバーターや遠隔監視システムを含む全システムが正常に稼働しているかを確認します。必要に応じて、データを分析し災害前後の発電量の変化をチェックします。不具合が見られる場合は、早期に修理または部品交換を実施します。
7. メンテナンス記録の作成と今後の対策
災害後の点検や修理内容は詳細に記録しておくことが大切です。次回以降の災害に備え、発生した問題点を分析し、架台や配線の補強、周辺環境の整備など、事前対策を講じるための資料として活用します。